義太夫協会主催 第76期義太夫教室「入門コース」講義(7月6日)

一般社団法人 義太夫協会・義太夫節保存会が義太夫節普及を旨に主催し、76回を迎える「義太夫教室」(令和6年度文化庁・東京都補助事業)。浄瑠璃と三味線の「実技」と、義太夫節の歴史や音楽史・芸能史的価値をお伝えする「講座」を受講することになります。

実は私も義太夫節の虜となって40年、学生時代に文楽を観ている時の休憩中、国立劇場小劇場のピンク電話の脇に「義太夫教室」のチラシを見つけ、その場で公衆電話から義太夫協会に申し込みの電話をしたことを鮮明に覚えています。38期生でした。その時の実技の先生が、先代の竹本綾之助師匠と竹本駒之助師匠でした。講義は東洋大学の影山正隆先生や二松学舎大学の佐々木明郎先生…興味は抱きつつもとても理解には及びませんでしたが、いただいた当時の資料を見直して、いかに興味深く有意義なお話をして下さっていたか…時間を逆回ししたい思いです。

日本を代表する伝統芸能である人形浄瑠璃や歌舞伎は、義太夫節がないと幕が開きません。三味線音楽として、何より“浄瑠璃の司”として、これほどダイナミックかつ迫力満点な表現は他にはない…と思っています。

一制作者として、そんな義太夫節に少しでも触れて、聴いていただきたいと普段から心底思っている中、76期の義太夫教室の受講生の皆さまに向けた講義を1コマご依頼いただきました。あれから約40年…時の流れに感慨を抱くと共に、当時の先生方の姿を思い出すにつけ、私でよいのか…という思いが巡りました。改めて只々光栄の至りです。

私のできることは、制作者として「普及」を旨に事業を重ねてきた経験をお話しする事と心得、

(1)全国各地に現在でも伝承されている地芝居や人形芝居(農村歌舞伎、子供歌舞伎、人形浄瑠璃)で、不可欠な義太夫節の伝承に尽力している地域の人々の姿をご紹介すること。

(2)次世代の子どもたちに向けての普及活動(学校アウトリーチ公演など)をご紹介すること。

この2本立てで構成し、全国各地には現在でも義太夫節に一所懸命取り組んでいる“仲間”がたくさんいることと、義太夫節の表現を素直に受けとめる子どもたちの姿を、映像と共にご紹介しました。

社会全体に向けて、義太夫節の存在と価値、何よりその面白さやカッコよさをお伝えすることに、少しでもお役に立てたらうれしく思うばかりです。

 

義太夫教室38期 上野本牧亭で行われた発表会