神楽坂まち舞台・大江戸めぐり2024

12回目を迎えた「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」、5月18日(土)、19日(日)、両日に渡り、今回も神楽坂の皆さまには内容・運営両面に渡って大きく支えていただきつつ、無事に実施することができました。

18日(土)は終日晴天、真夏を思わせる暑さの中、毘沙門天善國寺、赤城神社、矢来能楽堂、そして神楽坂通りを挟んだ裏通りや路地を舞台に、数々の芸能が披露されました。

19日(日)は、途中の小雨に湿気に弱い日本の楽器への影響が心配されましたが、出演者の皆さまの協力で進行上大きな問題には至らず、無事上記会場の各コーナーでさまざまなプログラムを実施することができました。今回より神楽坂の楽器店SEION TOKYOさんのご協力により、店舗内での体験コーナーを行うことができたことも特筆すべきことと思っています。

18日に行われた2つのコーナーは、毎回新たな企画を立案して行うもので、時間をかけた丁寧な準備を要しています。

能楽堂での『芸能道しるべ』は、「能楽堂でたどる江戸の芸能」~“今さら聞けない”シリーズ・常磐津と清元の違い!~」と題し、アンバサダーのロバート キャンベル先生に進行をお手伝いいただきました。先生の江戸芸能の本質を踏まえた的確かつ誰もが笑顔で頷く比喩をふんだんに用いた分かり易い進行に、常磐津和英太夫さんと清元成美太夫さんほか若手演奏家の皆さまが熱量をもって応え、常磐津節と清元節の特徴、面白さと聴き処などを、楽しく伝えて下さったアッと言う間の60分でした。地味なジャンルだけに集客を心配しましたが、客席は文字通り満席でした。

そしてこの日の最終プログラムが、毘沙門天善國寺本堂に上がる階段を特設ステージとする「夜会」。ロバート キャンベル先生と吉住健一新宿区長によるトークで、神楽坂とこのイベントへの熱く温かいエールをいただいた後、今回初めてお招きした江戸曲独楽の三増れ紋さんに、軽妙洒脱な話芸と共に繰り広げられる緊張感溢れる曲独楽の芸をご披露いただきました。続いて薩摩琵琶の久保田晶子さんによる『平家物語』。ひと撥で境内の空気を一変させました。最後は小湊昭尚さんをはじめとする尺八演奏家四人と、セッションハウスを主宰する伊藤直子さん演出・振付によるコンテンポラリーダンスユニット〔マドモアゼル・シネマ〕の皆さんによる、「呼応する息と身体」をテーマとしたコラボレーションを行いました。

今回も全体のプログラムを構成するにあたり、「このイベントが単なる伝統芸能の“野外ショーケース”となることなく、神楽坂と言うまちと伝統文化の価値を明確に表出させ、その価値を未来へ繋ぐこと」という目的を再確認し、そしてその成果を具体的に描きつつ、若手及び初出演の演者の起用と同時にお馴染みの演者、神楽坂との関係性の厚薄などのバランスを考慮し、各芸能ジャンルの有するエンターテインメント性と芸術性など、対比を基軸に会場の適性と照合しつつ立案作業にあたりました。

特定のプログラムを目指して来場し、最後まで観切る方が多かったこと、また出演の皆さまからも、例年以上にパフォーマンスに集中できた旨の所感を伺えたことも嬉しいことでした。

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